『地獄楽』コミック全13巻、読み切った!結末に大満足

少年ジャンプ+アプリで1巻目が無料試し読みできた『地獄楽』。ものすごく続きが読みたいと気になって、珍しく全巻購入(ネットオフでだけどw)してしまった。

『地獄楽』コミック全13巻

Kindleや電子コミックに慣れたこの数年。紙の本は場所を取るから保管が大変だし、手にできるのが遅いし、歯抜けにならずにコンプリするのが時々大変だし…と敬遠していたのですが。

表紙の色鮮やかさに惹かれたのか、細かいところまで読み込みたくなったのか。

なぜ、敢えてわざわざ紙の本を買ったのかは自分でもよく分かってないけれど、なんか無意識に「これは紙で読んだ方が面白そう」と思ったのだと思われる(野生の勘には従うタイプ)。

とりあえず、なんでこの作品が気に入ったのか、どこがツボだったのかを振り返ってみたいと思う。『鬼滅の刃 遊郭編』みたいに派手な美形が出ているわけではないのに、どこが気に入ってるのか自分でも結構ナゾだったりするので。

ネタバレ注意

『地獄楽』原作コミックの感想

まず、画眉丸カワイイ。画眉丸強い。

単純だけど、そこ。

佐切強い、佐切カワイイ。

これもある。

で。

ハッピーエンドだから尚のことご機嫌で何度でも読み返せるのだけれど、画眉丸があくまでも妻一筋で、佐切と男女の仲にならないのがいいなと思ってる部分がある。

もちろん、佐切は画眉丸の頸を落とせる力量があるし、運命共同体だから一緒に行動して、それなりに強い絆というか繋がりが出来上がっているけれど。佐切の強さも弱さもどちらも抱えている状態が、強さだけに偏りがちな脳筋メンバーを導くことが多いし、特に画眉丸にとって佐切の存在は妻とは別の方向から画眉丸を人間らしくさせる大きなものだけれど。

変な男女関係が微塵もなくて、画眉丸が生き抜く動機が、ただただ妻に逢いたい、徹頭徹尾ただそれだけなのが自分の琴線に触れたらしい。

がらんどうだから画眉丸。と言われるだけあって確かに彼は明確に誰かを殺したいと思って生きているわけではなく、殺すのは仕事だから、もしくは自分の邪魔をするから、と理由がはっきりしてる。えげつない殺し方をするのは、それが一番効率が良いと理解しているから。本人の嗜好ではなく。

登場人物はバンバン死んでいくのがツラいと言えば辛いけれど、メインキャスト御一行様になった後は誰も理不尽な死に方をしてないから、ひどいお通夜気分にはならない。うまく言えないけれど、死に方に救いがあると言うか、無念や怨念を残して死んでいかないから気持ち的に少し救われると言うか。

画眉丸はチート的な最強度を持ってるけれど、彼のコアを形成する妻への想いが薄れると存在に揺らぎが生じるあたりが、完璧すぎなくてどこかホッとする。護るべきものを持つことが、弱くなることではなく寧ろ強くなることだなんて、一種マンネリなヒロイズムなのに、「お約束感」が煩くなくスッと心に入ってくるのが自分には好みだった気配。

うまく纏まらないのだけれど。

バランスが良い、のかな?

絶対的強者が引っ張るわけではなく、味噌っかすに見えたキャラも個性があり強みがあり。ツワモノ達の物理的な強さと、コアである(と勝手に思ってる)佐切の強弱の完璧なバランスと、それぞれが持つ過去や想いやそれらが形を成した特技や…

黒幕についても、完全悪の化身じゃなくて純粋な想いが邪な形を成してしまった、部分が憎み切れず。

がらんどうで空っぽだった画眉丸が人になれてよかった。文字通り命を懸けて戦い抜いた労力が報われて良かった。佐切も、今までどおり罪の意識を捨てきれず仕事を続けていくのかもしれないけれど、島に行く前と後では必ず何かが変わっているはず。

そして、人の気配にものすごく敏感なはずの画眉丸が、飼い猫のように惰眠を貪っているラストシーン。殺気を向けられれば脊髄反射で起きるだろうけれど、もうがらんどうの画眉丸じゃなくなったんだなと心から思える微笑ましい一コマだった。