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ユーリのアーニャ子守録やダミアンの健気な騎士っぷりが楽しめる小説『SPY×FAMILY 家族の肖像』

遠藤達哉先生の描き下ろしイラストもたっぷり入った、『SPY×FAMILY/スパイファミリー』小説「SPY×FAMILY 家族の肖像」。

ebookで25%OFFクーポンがあったので、購入して早速読破。

コミックの面白さを壊さない、なかなか面白い内容でした!ただ、原作コミックの既刊分エピソードまで読んでないと、少しわかりづらい部分あり。

記事後半で軽くネタバレありの感想を叫びます。

SPY×FAMILY 家族の肖像 (小説)

以下、ネタバレ注意!!!

NOVEL MISSION 1

アーニャ、自然教室へ行く

※このMISSIONは、コミック第7巻に収録されている「MISSION:39」と、第5巻に収録されている「MISSION:24」を読んでからの方が細部まで楽しめます。

泊りがけの自然教室(もちろんイーデン校敷地内)の案内を持って帰ってきたアーニャに、Navy SEALsかSAS並みのサバイバル技術を教え込むべきかと悩むヨル。

ヨルさん、ここでもすべてがスプラッタに繋がる思考回路(笑)多分彼女なら、熊でもサソリでも毒蛇でも瞬殺でしょうけど。

ちちロイドは、ヨルの斜め上に暴走した思考回路を引き戻し、とにかくダミアンと仲良くしてほしい旨を「友達と仲良く」×2 で念押し。口から出てくる言葉に加え、心の中で思っている「頼むからダミアンと仲良くしてくれ」のシャワーを浴びるアーニャ。

ちちとはは、それぞれの表と裏の顔のギャップを知りながら、怯えることなくワクワクするあたりがアーニャの非凡さだなぁといつも思います。もしくは、それだけイロイロ実験されてきてしまったのか…

大人のヨルとロイドはそれなりにアーニャの奇想天外な言動をいなせる余裕があるとして、100%振り回されることになるのが、「じなん」ことダミアン。

小学生の男の子が気になっている女の子に意地悪をする、のは鉄則的なものではあるものの(女子→男子もあるだろうし)。ダミアンの場合は一方的に(ロイドの思惑を読んだ)アーニャに絡まれている割合が大きいので、コミックでも小説でもかなりの割合で「不憫だなぁ~」と思わずにはいられず。

ダミアンは実年齢よりも精神年齢が少しだけ上…というか、父親と兄の存在ゆえに無邪気になりきれない部分がある印象。上流階級に生まれた以上、しがらみ全部忘れて生きていくことは出来ないのかもですが。

そのダミアンが、アーニャを頑張って守ろうとする姿が、このエピソードで一番心打たれた(?)部分でした!

怯えるアーニャを、自分も思いっきりビビりながら宥めようと頑張るダミアン。

静かに近づくアーニャとダミアンの心の距離!

と言っても、すぐに罵り合いに戻るのですが(笑)

父親に認められるために、が大前提にあったとしても、ダミアンはすごく優しくて立派なKnight(騎士)でした!5年後、いや10年後、口でボロカス言いながらもアーニャをいつでも護ってくれる素敵な少年に育ってそう!いや、育ってくれ(笑)


アーニャの目線で語られるので、ひらがなが多くて少しばかり目が滑るエピソード。脳内で適切な漢字に変換する作業が膨大でちょっと疲れました(苦笑)

ちなみに、第7巻の「MISSION:39」では、ダミアンの取り巻きエミールとユーインが、ただダミアンに媚びへつらうだけの金魚の糞ではないことが分かるエピソードでもありました。ダミアンがXXXが苦手なことに気付いてそれを持ってダミアンを追いまわしたり、父に認められるために頑張り過ぎてるダミアンを、“エレガント”にサポートしたり。

普段級友たちの前で見せる<デズモンド家の威を借る>姿とは別に、家柄の差があれど時に<同級生>として接することが出来るエミールとユーインって、ダミアンにとってめちゃくちゃ貴重な“トモダチ”じゃないか?!と思ったエピソードでした。

箸の上げ下げひとつしないお坊ちゃまお嬢様を育てるのかと思いきや、サバイバル技術もサラリと教えてしまうイーデン校のすごさも感じられます。ここで出てきたグリーン先生が小説のMISSION1と繋がってます。

帰還したアーニャが怯えるヨルの「料理」の凄まじさは、第5巻収録「MISSION:24」にて。犬のボンドまでもが昇天を覚悟するヨルの料理の腕…

NOVEL MISSION 2

ユーリとアーニャは何気に気が合う

過労モードで強制休暇を取らされたユーリ。溺愛&心酔する姉ヨルから電話で「頼みがあるから来てほしい」と請われて舞い上がったものの、頼まれたのはアーニャの子守!

姉の頼みである以上断れなかったユーリは、アーニャに一人で遊ばせようとするがそこはアーニャの方が一枚上手で、最終的にユーリはアーニャをキッザニアのような施設へ連れていくことにした。

アーニャが読心術を駆使してやけにリアルな「職業体験」を見せるかと思えば、ユーリは突然スイッチが入って本業スキルを遺憾なく発揮し始め…

姉のヨルに対して過ぎる愛情を抱いているユーリにひたすら胸焼けするアーニャと、都度都度の的確なツッコミがほんとに楽しいエピソード。どちらもヨルを大切に思っていることに変わりはないので、その意味ではお互いの利害が一致するし、どちらも似たようなレベルで動くので何かと微笑ましい(笑)

NOVEL MISSION 3

ロイドまでを欺いてみせたフランキーの本気

黄昏のおかげで病院通いを余儀なくされたフランキー。そこで思わぬ出逢いが発生!

浮かれるフランキーと、そんな彼に眉を顰めるロイド。このロイドのフランキーへの心の声が何気に辛辣で結構ヒドい(笑)浮かれすぎて任務の足を引っ張るな、失恋してヤケ酒になった時の相手が面倒、などツラツラ思った後、「とりあえず放っておくか」と考えることを放棄。

ロイドのこの切り替えの早さに感服。用意周到が鉄則の彼だけれど、何を重視して何を捨てるか(捨てても良いか)を一瞬で判断できることこそが、彼の優秀な部分なんだろうな~と思う。

心を奪われた女性のために頑張るフランキー。その頑張りは、それなりに付き合いが長いロイドをさえ驚かす程のもの。


フランキーだって仕事上、綺麗ごとばかり言ってられないだろうし、情報屋として裏のドロドロはさんざん見ているだろうけれど、それでもあんな行動を取れるということは本質はすごくイイ人なんだろうなと思います。見た目は冴えないけど、特にロイドと並ぶと厳しいけど、人柄はものすごく良いのだから、いつか彼の素晴らしさに気づいて彼と恋に落ちる人が出てこないかな~と思います。

しかし、五感は欺けないこと、フランキーは気づいてなかったのか。気づいていて、ほんの少しの未練でそのままにしていたのか。。。。

そしてふと気になったこと。“ミルクを注いだコーヒー”は、ロイド・フォージャーとして家族を持ってからできた新しい習慣なのか…

習慣、は身に着けるのはともかく、沁みついてしまったものを落とすのが難しいと思うので、ロイドは今までどれだけの「習慣」を身に着けそして削いできたのだろうと、思いました。

NOVEL MISSION 4

ヨルさん、その「ファッション」は多分めちゃくちゃ怖いです

ハンサムな夫&父親に、ちょっとヌケてるけど美人な妻&母。そして無邪気な娘。

黄昏がミッション「梟」のために心を砕いて維持している「仲睦まじい家族」。今日も今日とて、忙しいなか時間を作り公園へ行く「フォージャー家」。

そこで突然頼まれた「絵のモデル」。

依頼者はリアルな写実画を描くことで知られた稀代の画家。

ロイド・フォージャーとしての痕跡をあまり明確に残したくない黄昏は、適当な理由でその依頼を断ろうとするものの、アーニャの暴走でモデルを引き受けざるを得なくなる。黄昏が最終的には出来上がった絵を何とかしようと考える一方で、殺し屋「いばら姫」の顔を写実されたくないヨルは焦りに焦り、挙動不審になり始める。

突然不可解な言動を取り始めるヨルを前に困惑するロイド。とにかく顔を描かれたくなくて、意味不明な行動を取り続けるヨル。

ヨルと画家の攻防戦は画家の勝利に終わり、黄昏は絵を盗み出す準備を始める。しかし、黄昏とヨルの心配は杞憂に終わり…


ヨルが殺し屋であることを知らないロイドがヨルが不可解な行動を取る理由を推測するものの、ことごとく斜め上にぶっ飛びすぎていて、敏腕諜報員も形無し(笑)

ヨルに関しては表向きの情報しか出ていないし、当然彼女の所属する組織も鉄壁なので、ロイドがヨルの表向きプロフィールを完全に信じ込むのも不思議はないと思われる。それはロイドに関しても同じ事ではあるものの、この2人もしくはそれぞれの組織が「表向きプロフィール」に疑いを感じる日が来ないでほしいと思ってしまう。

ユーリに関しては黄昏は一発で彼がSSSであることを見抜いたので、アーニャが致命的な言動を取りさえしなければバレることはないだろうと思えるけれど。

この偽りの家族が、いつか本当の家族になれたらなぁ~と思うのをやめられない。

SHORT NOVEL

東国首都バーリントのとあるレストラン。そこに勤めるウエイトレス、リリーの視点で語られるフォージャー家。

客としてレストランを訪れる「家族」達は、どれもこれも顔をしかめずにいられない品のなさや態度の悪さ。そんな人々の姿に結婚への夢が薄れていくリリー。

しかし、ろくでもない客達の中でフォージャー家だけは、癒しともオアシスとも言える存在だった。

ロイドとヨルの職業、娘アーニャがイーデン校に通っていること。情報通のウエイトレスにより丸裸にされる「フォージャー家」。完璧なまでに理想の家族像を描く3人は、自分たちのしらないところで東国の婚姻率を引き上げていたのだった。

小説は時々コミックとかなりかけ離れたものになることがあるので、少し警戒しながら購入したのですが。この小説「SPY×FAMILY 家族の肖像」は、原作テイストやテンポを損なうことなく、描き下ろしイラストもかわいくて、フォージャー家やアーニャのイーデン校生活を楽しめるものでした。

©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会